第11節 避難の受入活動計画

〔総務課・町民課・建設環境課・教育委員会〕

風水害の発生時には、まず行政、住民及び防災関係機関が一体となって被害軽減のための措置をとることが重要であるが、崖崩れや火災の延焼などにより、大きな被害を生じるおそれがあり、生命に危険が及ぶような場合は、居住者や滞在者等は、速やかに安全な場所に避難することが必要となる。

このような事態に備え、迅速かつ円滑な避難活動を確保するため、要配慮者及び帰宅困難者、滞留旅客(以下「帰宅困難者等」という。)に配慮した避難計画の作成、各種災害への安全性を考慮した指定緊急避難場所及び指定避難所の確保等を図る。

1 避難路、指定緊急避難場所及び指定避難所の指定

(1) 町は、避難路、指定緊急避難場所及び指定避難所をあらかじめ指定し、日頃から住民等への周知徹底に努める。

(2) 町は、指定緊急避難場所を指定して誘導標識を設置する場合は、日本産業規格に基づく災害種別一般図記号を使用して、どの災害の種別に対応した避難場所であるかを明示するよう努める。

2 避難計画の策定等

町は、次の事項に留意して避難計画を作成するとともに、自主防災組織の育成、防災訓練の実施等避難体制の確立に努める。

また、躊躇なく避難指示等を発令できるよう、平常時から災害時における優先すべき業務を絞り込むとともに、当該業務を遂行するための役割を分担するなど、全庁を挙げた体制の構築に努める。

(1) 高齢者等避難、避難指示を行う判断基準及び伝達方法

(2) 指定緊急避難場所開設の対象となる異常現象の種類

(3) 指定緊急避難場所及び指定避難所の名称、所在地、対象地区及び対象人口、責任者

(4) 指定緊急避難場所及び指定避難所への経路及び誘導方法

(5) 避難所開設に伴う被災者救援措置に関する事項

ア 給食措置

イ 給水措置

ウ 毛布、寝具等の支給

エ 衣料、日用品の支給

オ 負傷者に対する救急救護

(6) 指定避難所の管理に関する事項

ア 避難収容中の秩序保持

イ 避難住民に対する災害情報の伝達

ウ 避難住民に対する応急対策実施状況の周知徹底

エ 避難住民に対する各種相談業務

(7) 避難の心得、知識の普及啓発に関する事項

ア 平常時における広報

(ア) 広報紙、掲示板、パンフレット等の発行

(イ) 住民に対する巡回指導

(ウ) 防災訓練等

イ 災害時における広報

(ア) CATVによる周知

(イ) 有線放送による周知

(ウ) 広報車による周知

(エ) 避難誘導員による現地広報

(オ) 住民組織を通じた広報

(8) 避難行動要支援者対策

町は、平常時より避難行動要支援者に関する情報の把握に努め、避難行動要支援者名簿を作成し、避難支援等に携わる関係者として定めた消防機関、警察機関、民生児童委員、社会福祉協議会、自主防災組織等に対し、避難行動要支援者本人の同意を得た上で、あらかじめ避難行動要支援者名簿を提供し、避難行動要支援者に対する情報伝達体制の整備、避難支援・安否確認体制の整備、避難訓練の実施等を一層図る。

(9) 帰宅困難者等対策

帰宅困難者等を安全かつ適切に避難誘導・保護するため、帰宅困難者等に確実に情報伝達できるよう必要な体制の整備に努める。

(10) 安全確保措置に関する事項

避難指示等が発令された場合の安全確保措置としては、指定緊急避難場所への移動を原則とするものの、避難時の周囲の状況等により、指定緊急避難場所への移動を行うことがかえって危険を伴う場合等やむを得ないと住民等自身が判断する場合は、「近隣の安全な場所」への移動又は「屋内安全確保」を行うべきことについて、日頃から住民等への周知徹底に努める。

3 避難場所の確保

(1) 町は、公園、公民館、学校等の公共的施設を対象に、地域的な特性や過去の教訓、想定される災害等を踏まえ、その管理者の同意を得た上で災害の危険が切迫した緊急時において安全が確保される指定緊急避難場所及び被災者が避難生活を送るための指定避難所について、必要な数、規模の施設等をあらかじめ指定し、住民への周知徹底を図る。

なお、指定した指定緊急避難場所、指定避難所については、資料5−1のとおりである。

(2) 指定緊急避難場所については、洪水、崖崩れ、土石流、地すべり、大規模な火事、内水氾濫(一時的に大量の降雨が生じた場合に下水道等の排水施設又は河川その他の公共の水域に当該雨水を排水できないことによる浸水)、の各現象に対応するため、災害に対して安全な構造を有する施設又は周辺等に災害が発生した場合に人の生命及び身体に危険を及ぼすおそれのあるものがない場所であって、災害発生時に迅速に指定緊急避難場所の開放を行うことが可能な管理体制を有するものを指定する。

なお、指定緊急避難場所となる公園等のオープンスペースについては、必要に応じ、火災の輻射熱に対して安全な空間とすることに努める。

(3) 町が全域的に被災する場合又は被災場所の地域性により隣接市町の方が避難に利便を有する場合も想定されるので、必要に応じ隣接市町と指定緊急避難場所の相互提供等について協議しておく。

(4) 指定緊急避難場所については、他の市町村からの被災住民を受け入れることができるよう配慮する。

(5) 町は、安全が確保された後に、避難行動要支援者を円滑に緊急避難場所から避難所へ移送するため、運送事業者等の協力を得ながら、移送先及び移送方法についてあらかじめ定めるよう努める。

4 避難所の確保

(1) 指定避難所(資料5−1)については、被災者を滞留するために必要となる適切な規模を有し、速やかに被災者等を受け入れることが可能な構造又は設備を有する施設であって、想定される災害による影響が比較的少なく、災害救援物資等の輸送が比較的容易な場所にあるものを指定する。

なお、福祉避難所として要配慮者を滞在させることが想定される施設にあっては、要配慮者の円滑な利用を確保するための措置が講じられており、また、災害が発生した場合において要配慮者が相談等の支援を受けることができる体制が整備され、主として要配慮者を滞在させるために必要な居室が可能な限り確保されるものを指定する。

なお、指定緊急避難場所と指定避難所は相互に兼ねることができる。

(2) 町は、学校を指定避難所として指定する場合には、学校が教育の場であることに配慮する。また、指定避難所としての機能は応急的なものであることを確認の上、指定避難所となる施設の利用方法等について、事前に教育委員会等の関係部局や地域住民等の関係者と調整を図る。

(3) 町が全域的に被災する場合又は被災場所の地域性により隣接市町の方が避難に利便を有する場合も想定されるので、必要に応じ隣接市町と指定緊急避難場所、指定避難所の相互提供等について協議しておく。

(4) 指定避難所に指定した施設については、必要に応じ、良好な生活環境を確保するために、換気、照明、冷暖房等の施設の整備に努める。

なお、設備の整備に当たっては、電力、ガス等の供給が長期間停止することを想定した整備に努める。

また、避難所の感染症対策については、本編第2章第16節「保健衛生、感染症予防活動」を踏まえ、感染症患者が発生した場合の対応やホテルや旅館等の活用等について検討するよう努める。

(5) 指定避難所における備蓄倉庫、貯水槽、井戸、仮設トイレ、マンホールトイレ、マット、簡易ベッド、非常用電源、衛星携帯電話等の通信機器のほか、空調、洋式トイレ等避難の実施に必要な施設・設備の整備に努め、要配慮者にも配慮する。

(6) テレビ、携帯ラジオ等被災者による災害情報の入手に資する機器の整備を図る。

また、要配慮者への適切な情報提供に努める。

(7) 指定避難所又はその近傍で、地域完結型の備蓄施設を確保し、食料、水、非常用電源、常備薬、マスク、消毒液、炊き出し用具、毛布等避難生活に必要な物資の備蓄に努める。

また、灯油、LPガスなどの常設に努める。

(8) 避難行動要支援者を安全かつ適切に避難させるため、地域住民の助け合いの力等による避難行動要支援者一人ひとりの状況に即した避難支援体制を確立する。

また、指定避難所内の一般スペースでは生活が困難な障がい者等の要配慮者のため、必要に応じて福祉避難所を指定するよう努める。

なお、災害発生時に避難所となる公共施設については、段差解消やスロープの設置等要配慮者に配慮した施設整備を行うとともに、必要な物資等の備蓄に努める。

(9) 医療機関、社会福祉施設等との密接な連携の下に、災害発生時における避難行動要支援者の緊急受入れ等について、支援協力体制の確立に努める。

(10) 公有地はもとより民有地についても極力安全空間の確保に努め、今後開発される地域においても、その計画が指定緊急避難場所及び指定避難所としての条件を満たすよう協力を求めていく。

(11) 「長野県避難所運営マニュアル策定指針」(令和2年7月改定)、長野県避難所TKBスタンダード等を参考として、各避難所の運営マニュアル等の作成を検討する。

(12) マニュアルの作成、訓練等を通じて、指定避難所の運営管理のために必要な知識等の普及に努める。この際、住民等への普及に当たっては、住民等が主体的に指定避難所を運営できるように配慮するよう努める。

(13) 指定避難所として指定した学校等の施設については、備蓄のためのスペース確保や通信設備の整備等に努める。

また、必要に応じ指定避難所の電力容量の拡大に努める。

(14) 指定避難所については、他の市町村からの被災住民を受け入れることができるよう配慮する。

5 避難路の確保

指定緊急避難場所及び指定避難所への経路を避難路として指定する場合、次の事項に留意する。

(1) 十分な幅員があること。

(2) 万一に備え、複数の路線を確保すること。

(3) 崖崩れ等の危険箇所を通過しない経路を選定すること。

6 避難所等の周知徹底

指定避難所等を明示した表示板の整備を実施するとともに、これらの所在地及び避難路等を記載した防災マップを作成し、住民への配布等を積極的に行う。

7 要配慮者等

(1) 避難誘導体制の整備

ア 町は、県と連携して、在宅の高齢者、障がい者等の要配慮者の速やかな避難誘導を図るため、自主防災組織及び民生児童委員等と連携を綿密に行うよう努める。

イ 要配慮者の避難については、まず身近な指定避難所に避難誘導し、その避難所に「要配慮者専用スペース(福祉避難室)」を設けるか、必要に応じて福祉避難所へ二次避難させる体制を整える。

(2) 住民の予防対策

ア 家族があわてず行動できるよう、次のことを話し合い、家族内の役割分担を決めておく。

(ア) 家の中でどこが一番安全か。

(イ) 救急医薬品や火気などの点検

(ウ) 幼児や高齢者の避難は誰が責任をもつか。

(エ) 避難場所、避難所及び避難路はどこにあるか。

(オ) 避難するとき、誰が何を持ち出すか、非常持ち出し袋はどこにおくか。

(カ) 家族間の連絡方法と最終的に落ち合う場所はどこにするか。

(キ) 昼の場合、夜の場合の家族の分担。

イ 防災訓練に積極的に参加し、避難行動を実践的に身につける。

ウ 指定避難所での生活に最低限必要な食料、水、衣類等生活必需品、医薬品、携帯ラジオ、携帯電話用モバイルバッテリー等をいつでも持ち出せるように備えておく。

8 住宅の確保体制の整備

住居の被災により避難生活を余儀なくされた住民に対して、早期に生活基盤が安定するよう速やかな住宅の確保が必要となる。

このため町は相互に連携し、住宅情報の提供又は住宅の提供を行う体制を整備する。

(1) 利用可能な公営住宅等の把握に努め、被災者に住宅を提供する体制を整備する。

(2) 必要に応じ、賃貸住宅等の借上げ、応急仮設住宅の建設により、被災者に住宅を提供する体制を整備する。

(3) 応急仮設住宅の建設用地については、指定緊急避難場所及び指定避難所との整合を図りながら候補地を選定確保する。

(4) 災害救助法が適用された場合における、入居者の決定等住宅供給方法等について、県と相互に連携した体制の整備を図る。

(5) 利用可能な賃貸住宅等の情報を被災者に提供する体制を整備する。

(6) 被災周辺市町村は、利用可能な公営住宅等の把握に努め、被災市町村に情報提供する体制を整備する。

9 学校等における避難計画

災害発生時、小学校、中学校、高等学校及び保育園(以下「学校等」という。)においては、幼児、児童及び生徒(以下「児童生徒等」という。)の生命、身体の安全確保に万全を期すとともに、緊急事態に備え、迅速かつ的確に対応できる綿密な保護対策としての防災応急対策を実施する必要があることから、学校長・保育園長(以下「学校長等」という。)は、児童生徒等の保護について次の事項に十分留意し、避難対策計画を具体的に定めておく必要がある。

学校等においては、多数の児童生徒等を混乱なく、安全に避難させ、身体及び生命の安全を確保するために、立地条件等を考慮し学校等の実態に即し、避難場所、経路、時期及び誘導並びにその指示、伝達の方法等、適切な避難対策をたてておく。

(1) 防災計画の作成

ア 学校長等は、風水害が発生した場合に児童生徒等の安全を確保するため防災計画を作成しておく。

なお、この計画作成に当たっては町、警察署、消防署及びその他の関係機関と十分協議する。

イ 学校長等は、防災計画を作成又は変更したときは、速やかに、町教育委員会(以下「町教委」という。)に報告するとともに、教職員、児童生徒等及び保護者に周知徹底を図る。

ウ 防災計画には、次の事項を定めておく。

(ア) 風水害対策に係る防災組織の編成

(イ) 風水害に関する情報の収集と学校、教職員及び保護者への伝達の方法

(ウ) 町、町教委、警察署、消防署及びその他関係機関への連絡方法

(エ) 夜間、休日等における緊急時の教職員等の連絡及び招集方法

(オ) 児童生徒等の避難・誘導と検索の方法

(カ) 児童生徒等の帰宅と保護の方法

(キ) 児童生徒等の保護者への引き渡し方法

(ク) 児童生徒等が登下校の途中で風水害にあった場合の避難方法

(ケ) 児童生徒等の救護方法

(コ) 初期消火と重要物品の搬出の方法

(サ) 施設・設備の災害予防、危険箇所、危険物(危険動物を含む。)の点検方法

(シ) 避難所の開設への協力(施設・設備の開放等)

(ス) 防災訓練の回数、時期、方法

(セ) 教職員、児童生徒等に対する防災上の教育及び保護者に対する広報の実施

(ソ) 風水害時における応急教育に関する事項

(タ) その他、学校長等が必要とする事項

(2) 施設・設備の点検管理

学校等における施設・設備の点検管理は、次の事項に留意し、適切に行う。

ア 日常的に児童生徒等がよく利用する施設空間(教室、昇降口、階段等)や遊具等が風水害の作用によりどのような破損につながりやすいかに留意して点検する。

イ 定期的に非常階段、消火栓等の防災施設や薬品庫等の施設・設備を各担当者が点検する。

ウ 設備や備品等の設置方法・場所が適当か、転倒、落下等の防止の措置がされているかについて点検する。

(3) 防火管理

風水害での二次災害を防止するため、防火管理に万全を期する。

ア 日常点検は、職員室、給食調理室、用務員室、理科室、家庭科室等火気使用場所及び器具を点検し、消火用水や消火器等についても点検する。

イ 定期点検は、消火器具、屋内消火栓設備、自動火災報知設備、避難器具、避難誘導灯及び貯水槽等の器具・設備等の機能を精密に点検する。

(4) 避難誘導

ア 避難経路及び避難場所は、第一、第二の避難経路及び避難場所を設定し、あらかじめ保護者に連絡し周知徹底を図る。

イ 防災計画の「児童生徒等の避難誘導と検索の方法」の作成に当たっては、次の事項に留意する。

(ア) 児童生徒等の行動基準並びに学校等や教師の対処、行動を明確にする。

(イ) 全職員の共通理解がなされ、個々の分担を明確にする。

(ウ) 遠足等校外活動中の災害発生等の場合にも対応できる。

(エ) 登下校時、在宅時における災害発生時の場合にも対応できる。

10 在宅避難者等の支援

住家の被害認定調査、保健師等による保健衛生活動、り災証明書の発行手続き、避難所での炊き出し等において、半壊以上の被害を受けた在宅避難者及び親戚宅等在宅避難者の状況を把握し、関係機関で共有できるよう、体制整備に努める。