第23節 防災知識普及計画

〔総務課・教育委員会〕

「自らの命は自らが守る」が防災の基本であり、町、県及び防災関係機関による対策が有効に機能するためには、食料・飲料水の備蓄など住民が平常時から災害に対する備えを心がけるとともに、災害発生時には自らの安全を守るための適切な対応をとることが重要である。

また、広域かつ甚大な被害が予想される災害に対処するためには、住民、企業及び自主防災組織等の連携による総合的な防災力の向上が不可欠である。

したがって、町は、災害文化の伝承や体系的な教育により住民の防災意識の高揚を図るとともに、防災知識の普及、徹底を図り、自主防災意識を持った災害に強い住民の育成に努める。あわせて、防災上重要な施設の管理者等、学校、町職員に対する防災知識の普及・防災意識の高揚を図る。

1 住民・自主防災組織・企業等に対する防災知識の普及活動

(1) 住民に対する一般啓発

災害発生時に、自らの安全を守るためにはどのような行動が必要か、要配慮者に対してはどのような配慮が必要かなど、災害発生時に役立つ実践的な防災知識を身につけた災害に強い住民の育成のため、新聞、テレビ、ラジオ等のマスメディア、町ホームページ、住民向け講座及び防災マップ、ハザードマップ等各種広報資料等により次の事項の啓発活動を行う。

ア 最低でも3日分、可能な限り1週間分程度の食料、飲料水、携帯トイレ、トイレットペーパー等の備蓄、非常持出袋(救急箱、懐中電灯、ラジオ、乾電池等)の準備、自動車へのこまめな満タン給油

イ 飼い主による家庭動物の同行避難や避難所での飼養についての準備、保険・共済等の生活再建に向けた事前の備え等の家庭での予防・安全対策

ウ 防災情報の意味や内容

エ 警報等発表時や避難指示、高齢者等避難の発令時にとるべき行動

オ 台風、集中豪雨、洪水、土砂災害、山地災害に関する一般的な知識

カ 「自らの命は自らが守る」という「自助」の防災意識

キ 地域、職場、家庭等のコミュニティにおいて相互に協力し、助け合う「共助」の防災意識

ク 災害時にとるべき行動に関する知識

ケ 正確な情報入手の方法

コ 要配慮者に対する配慮

サ 男女のニーズの違いに対する配慮

シ 防災関係機関が講ずる災害応急対策等の内容

ス 各地域における避難対象地域、急傾斜地崩壊危険箇所等に関する知識

セ 各地域における風水害のおそれのない適切な指定緊急避難場所、指定避難所、一時避難場所及び避難経路に関する知識

ソ 避難生活に関する知識

タ 必要に応じて避難場所の開錠・開設を自主防災組織で担う等、円滑な避難のため、自主防災組織等の地域のコミュニティを生かした避難活動

チ 平常時から住民が実施し得る、最低でも3日分、可能な限り1週間分程度の生活必需品の備蓄、家具の固定、出火防止等の平常時からの対策及び災害発生時における応急措置の内容や実施方法

ツ 「むやみに移動を開始しない」という帰宅困難者対策に対する基本原則や安否確認手段について

テ 被害想定区域外にも被害が及ぶ可能性があることについて

ト 防災マップ、地区別防災カルテ、災害時の行動マニュアル、ハザードマップ等を作成配布し、徹底した情報提供を行う。

なお、ハザードマップ等の配布又は回覧に際しては、居住する地域の災害リスクや住宅の条件等を考慮したうえでとるべき行動や適切な避難先を判断できるよう周知に努める。

また、安全な場所にいる人まで避難場所に行く必要がないこと、避難先として安全な親戚・知人宅等多様な避難が選択肢としてあること、警戒レベル4で「危険な場所から全員避難」すべきこと等の避難に関する情報の意味の理解の促進に努める。

(ア) 浸水想定区域については次の事項を記載した洪水ハザードマップを作成し、住民等へ配布する。その際、河川近傍や浸水深の大きい区域については「早期の立退き避難が必要な区域」として明示するとともに、避難時に活用する道路において冠水が想定されていないか住民等に確認を促すよう努める。また、ホームページ等での情報提供も行う。

a 避難の確保を図るため必要な事項

b 要配慮者が利用する施設で特に必要な施設の名称及び所在地

(イ) 土砂災害警戒区域については次の事項を記載した防災マップを作成し、住民等へ配布する。また、ホームページ等での情報提供も行う。

a 土砂災害に関する情報の伝達方法

b 指定緊急避難場所及び指定避難所に関する事項

c その他土砂災害警戒区域における円滑な警戒避難に必要な事項

(ウ) 山地災害危険地区等の山地災害に関する情報提供を行う。

ナ 防災気象情報や避難に関する情報等の防災情報を災害の切迫度に応じて、5段階の警戒レベルにより提供すること等を通して、受け手側が情報の意味を直感的に理解できるような取組を推進する。

ニ 自主防災組織における、防災マップ、地区別防災カルテの作成に対する協力について指導推進する。

ヌ 防災(防災・減災への取組実施機関)と福祉(地域包括支援センター・ケアマネージャー)の連携により、高齢者に対し、適切な避難行動に関する理解の促進を図る。

ネ 各地域において、防災リーダーの育成等、自助・共助の取組が適切かつ継続的に実施されるよう、水害・土砂災害・防災気象情報に関する専門家の活用を図る。

ノ 防災週間、水防月間、土砂災害防止月間、山地災害防止キャンペーン、雪崩防止週間等を通じ、各種講習会、イベント等を開催し、水防、土砂災害、雪崩災害、二次災害防止等に関する総合的な知識の普及に努める。

また、住民に対し、水害時のシミュレーション結果等を示しながら、「早期の立退き避難が必要な区域」からの迅速で確実な立退き避難を求めるとともに、浸水深、浸水継続時間等に応じて、水・食料を備蓄すること、ライフライン途絶時の対策をとること、保険・共済等の生活再建に向けた事前の備え、マイ・タイムラインの作成方法等について、普及啓発を図る。

住民に対し、風水害のおそれのない適切な避難場所、避難路等について周知徹底するとともに、必要に応じて避難場所の開錠・開設を自主防災組織で担う等、円滑な避難のため、自主防災組織等の地域のコミュニティを生かした避難活動を推進する。

また、住民等の防災意識の向上及び防災対策に係る地域の合意形成の促進のため、防災に関する様々な動向や各種データを分かりやすく発信する。

なお、防災マップ、ハザードマップに当たっては、それらが持っている意味、活用方法について十分な理解が得られるよう啓発の機会を設定する。この際、被害想定区域外にも被害が及ぶ可能性があることも併せて周知する。

ハ 啓発の方法

(ア) 防災マップ等の作成・配布

(イ) 広報紙、パンフレット、ポスター等の利用

(ウ) 映画、ビデオテープの利用

(エ) CATV、有線放送、広報車の利用

(オ) 講演会、講習会の実施

(カ) 社会教育その他各種団体等の集会等を通じての周知

(キ) 各種報道機関を通じての周知

(ク) 防災訓練の実施

(2) 社会教育を通じての啓発

町及び教育委員会は、社会教育の拠点である公民館活動等を中心として女性団体、PTA、青少年団体等を対象とした各種研修会、集会等を通じて防災に関する知識の普及・啓発を図り、各団体の構成員がそれぞれの立場から地域の防災に寄与する意識を高める。

ア 啓発の内容

住民に対する一般啓発に準ずるほか、各団体の性格等に合わせた内容とする。

イ 啓発の方法

各種講座・学級、集会、大会、学習会、研修会等において実施する。また、文化財等を災害から守り後世に継承するため、文化財巡視活動、文化財保護強調週間や文化財防火デーの実施等を通じ、防災指導を行い、防災知識の普及を図る。

(3) 事業所における災害対策の普及指導

事業所における災害対策として、おおむね次の事項について指導する。

ア 倒れたり、落下するおそれのある看板、ガラス窓などは、できるだけ早く改修するとともに機械類、事務機、ロッカー等は、動かないように壁や床に固定する。

イ 消火や避難のための施設や設備は、常時使用できるように点検・整備する。

ウ 救急医薬品や食料品等の非常用品をあらかじめ準備する。

エ 事業所間の情報伝達体制、消火活動の応援協力体制を整備する。

オ 従業員に対し、消火器の使用方法、避難等についての訓練を実施する。

2 防災上重要な施設の管理者等に対する防災知識の普及

町で管理している防災上重要施設については、その管理者等に対して発災時における行動の仕方、避難誘導について配慮すべき事項、どのような危険があるか、要配慮者に対する配慮等防災思想の普及徹底を行う。

〔佐久広域連合消防本部〕

防災上重要施設等における訓練時期をとらえて、災害時における配慮すべき事項等、防災意識の普及徹底に努める。

〔防災上重要な施設の管理者等〕

防災上重要な施設の管理者等は、発災時に適切な行動をとれるよう各種の防災訓練、防災に関する研修、講習会等に積極的に参加し、防災知識の習得に努めるとともに、その管理する施設においても防災訓練を実施する。

3 学校等における防災教育の推進

学校、保育園において児童生徒及び幼児が正しい防災知識を身につけることは、将来の災害に強い住民を育成する上で重要である。

町は、体系的な防災教育に関する指導内容の整理、指導時間の確保などを行ったうえで、学校等における防災訓練等をより実践的なものにするとともに、学級活動等を通じて防災教育を推進する。

(1) 防災訓練の実施

定期的に防災訓練を実施する。また、大規模災害にも対処できるように、町及び関係機関が実施する防災訓練に積極的に参加する。

(2) 児童生徒等への防災教育の実施

児童生徒等の発達段階に応じて、防災教育用教材やパンフレット等を活用して次の事項等について指導を行い、自らの安全を確保するための行動及び地域の安全に役立つことができる態度や能力を養う。

ア 防災知識一般

イ 避難の際の留意事項

ウ 登下校中、在宅中に災害が発生した場合の対処の方法

エ 具体的な危険箇所

オ 要配慮者に対する配慮

(3) 教職員の防災意識の高揚

教職員向けの指導資料の活用や研修会の実施により、教職員の安全・防災意識の高揚を図る。

4 町職員に対する防災知識の普及

職員として的確かつ円滑な防災対策を推進するために、地域における防災活動に率先して参加させるとともに、次の事項について、研修会等を通じ教育を行う。

(1) 自然災害に関する基礎知識

(2) 災害の種別と特性(災害対策関係法令等の研修)

(3) 立科町地域防災計画と町の防災対策に関する知識

(4) 災害が発生した場合に、具体的にとるべき行動に関する知識

(5) 職員として果たすべき役割(災害対策本部の組織及び事務分掌の周知、夜間・休日等における動員計画及び配備体制等の周知)

(6) 家庭及び地域における防災対策

(7) 防災対策の課題

なお、上記(4)及び(5)については、毎年度町所属職員に対し、十分に周知する。

また、各課等は、所管事項に関する防災対策について、それぞれ定められた事項について職員の教育を行う。

5 防災知識の普及における要配慮者等への配慮

防災知識の普及、訓練を実施する際、高齢者、障がい者、外国籍住民、乳幼児、妊産婦等要配慮者に十分配慮し、地域において要配慮者を支援する体制が整備されるよう努めるとともに、被災時の男女のニーズの違い等男女双方の視点に十分配慮するよう努める。

6 大規模災害の教訓や災害文化の伝承

過去に起こった大規模災害に関する調査分析結果や映像を含めた各種資料をアーカイブとして広く収集・整理し、適切に保存するとともに、広く一般の人々が閲覧できるよう地図情報その他の方法により公開に努める。

また、災害教訓の伝承の重要性について啓発を行うほか、大規模災害に関する調査分析結果や映像を含めた各種資料の収集・保存・公開等により、住民が災害教訓を伝承する取組みを支援する。

〔住民が実施する計画〕

住民は、自ら災害教訓の伝承に努める。