第9節 要配慮者支援計画

〔総務課・町民課・産業振興課〕

近年の高齢化の進行等社会構造の変化、核家族化などによる家庭や地域の養育・介護機能の低下等に伴い、災害発生時には、要配慮者が被害を受ける事例が多く見受けられる。このため、町及び社会福祉協議会、医療機関、社会福祉施設等の関係機関は、地域住民、自主防災組織等の協力を得ながら、災害から要配慮者を守るための防災対策の一層の充実を図る。

また、土砂災害が発生するおそれのある地域内に立地する要配慮者利用施設については、避難誘導等について重点的に対策を講じる必要がある。

1 避難行動要支援者対策

(1) 避難行動要支援者支援に関する計画の作成

町は、地域における災害特性を踏まえ、地域住民と連携を図りながら要配慮者の個々の態様に配慮した避難支援計画を作成する。なお、本計画は、避難行動要支援者を適切に避難誘導し、安否確認等を行うために必要な事項を定める。

町が、本計画に定める事項は以下を必須とする。

ア 避難支援等関係者となる者

町は、避難支援等関係者に対し、避難行動要支援者名簿情報を提供する。ただし、町条例に特別の定めがある場合を除き、名簿情報を提供することについて、本人の同意が得られていない場合は、この限りでない。

避難支援等関係者となる者は、以下に掲げる団体及び個人とする。

・消防機関

・警察機関

・民生児童委員

・社会福祉協議会

・自主防災組織

・自治会

イ 避難行動要支援者名簿に掲載する者の範囲

避難行動要支援者名簿に掲載する者の範囲は以下の要件とする。

・65歳以上の独り暮らしの高齢者

・75歳以上の高齢者のみ世帯

・介護保険法に規定する要介護状態区分3以上の在宅生活者

・障がい者:身体障害者手帳3級以上所持者、療育手帳A所持者、精神障がい者、難病患者

・上記以外で援助を必要とする者のほか、町長が必要と認めた者

ウ 名簿作成に必要な個人情報及びその入手方法

町は、避難行動要支援者に関する次に掲げる事項を記載し、又は記録する。

また、避難行動要支援者名簿を作成するに当たり、避難行動要支援者に該当する者を把握するため、関係課で把握している情報を集約するよう努める。

・氏名

・生年月日

・性別

・住所又は居所

・電話番号その他の連絡先

・避難支援等を必要とする事由

・上記に掲げるもののほか、避難支援等の実施に関し町長が必要と認める事項

エ 名簿の更新に関する事項

町は、住民の転入・転出、介護認定、身体障害者手帳等の事務を通じて避難行動要支援者名簿を定期的に更新し、名簿情報を最新の状態に保つ。

オ 名簿情報の提供に際し情報漏えいを防止するために町が求める措置及び町が講ずる事項

町は、避難行動要支援者名簿の提供に際しては、避難支援等関係者が適切な情報管理を図るよう、次に掲げる措置を講ずる。

・当該避難行動要支援者を担当する地域の避難支援等関係者に限り提供する。

・災害対策基本法に基づき、避難支援等関係者個人に守秘義務が課せられていることを説明する。

・避難行動要支援者名簿については、施錠可能な場所へ保管するなど、厳重なる保管を行うよう指導する。

・避難行動要支援者名簿を必要以上に複製しないよう指導する。

・避難行動要支援者名簿の提供先が個人でなく団体である場合には、その団体内部で避難行動要支援者名簿を取り扱う者を限定するよう指導する。

カ 避難行動要支援者が円滑に避難のための立退きを行うことができるための通知又は警告の配慮

町は、避難行動要支援者が避難のための立退きの指示を受けた場合には、円滑に避難のための立退きを行うことができるよう特に配慮しなければならない。

キ 避難支援等関係者の安全確保

町は、災害応急対策に従事する避難支援等関係者の安全の確保に十分配慮しなければならない。

(2) 避難行動要支援者の把握と名簿の作成

町は、町地域防災計画に基づき、防災担当部局と福祉担当部局との連携の下、平常時より避難行動要支援者に関する情報の把握に努め、避難行動要支援者名簿を作成する。また、避難行動要支援者名簿については、地域における避難行動要支援者の居住状況や避難支援を必要とする事由を適切に反映したものとなるよう、定期的に更新するとともに、庁舎の被災等の事態が生じた場合においても名簿の活用に支障が生じないよう、名簿情報の適切な管理に努める。

(3) 避難行動要支援者名簿の提供

町は、避難支援等に携わる関係者に対し、避難行動要支援者本人の同意を得ることにより、又は、町の条例の定めにより、あらかじめ避難行動要支援者名簿を提供するとともに、多様な主体の協力を得ながら、避難行動要支援者に対する情報伝達体制の整備、避難支援・安否確認体制の整備、避難訓練の実施等を一層図る。その際、名簿情報の漏えいの防止等必要な措置を講ずる。

(4) 避難行動要支援者の移送計画

町は、安全が確保された後に、避難行動要支援者を円滑に避難場所から指定避難所へ移送するため、運送事業者等の協力を得ながら、移送先及び移送方法についてあらかじめ定めるよう努める。

2 在宅者対策

(1) 指定避難所の整備

ア 町は、災害発生時において避難所となる公共施設について、安全性の向上、段差の解消、スロープや身体障がい者用トイレの設置、避難経路標識等の簡明化・多言語化等要配慮者に配慮した施設整備の推進、必要な物資等の備蓄に努める。

イ 町は、耐久、耐火、鉄筋構造等を備え、バリアフリー化された社会福祉施設等について、一般の指定避難所では生活が困難な障がい者や高齢者等が避難する福祉避難所としてあらかじめ指定する。

(2) 防災教育・防災訓練の実施

町は、要配慮者が自らの対応能力を高めるため、要配慮者の個々の態様にあわせた防災教育や防災訓練の充実強化を図る。

(3) 応援体制及び受援体制の整備

町は、他の市町村において災害が発生し、応援要請がある場合に備え、派遣可能な職員(保健師、介護職員等)、車両(小型リフト付車両等)、資機材(車椅子、ストレッチャー等)等、速やかに応援出動等の対応ができる体制を整備するとともに、必要な物資、資機材等の確保に努める。

また、災害発生時に応援要請を行う場合に備え、あらかじめ連絡調整責任者を定め、円滑かつ効果的に応援を受けられる体制の整備に努め、自治会等の自治組織との間で避難支援計画等に関する協定及び県内や近隣県における同種の施設と施設利用者の受入れに関する協定を締結するよう働きかける。

(4) 避難所における要配慮者支援体制の整備

町は、災害発生時において高齢者、障がい者等の要配慮者を支援するため、避難所において、福祉的支援を行う災害派遣福祉チームが派遣された場合に備え、保健医療関係者との連携、活動内容についての周知等に努める。

(5) 緊急通報装置等の整備

町は、要配慮者の安全を確保するため、要配慮者の対応能力を考慮した緊急通報装置や自動消火器、警報装置等の整備を推進する。

(6) 避難行動要支援者以外の要配慮者の状況把握

民生児童委員や自主防災組織等の協力を得て、避難行動要支援者以外の要配慮者についても所在及び災害時における保健福祉サービスの要否等、在宅の避難行動要支援者以外の要配慮者の状況把握に努める。その際、個人情報の保護に十分配慮する。

(7) 避難行動要支援者以外の要配慮者名簿の整備

町は必要に応じて、災害の発生に備え、避難行動要支援者以外の要配慮者についても名簿を整備し、災害発生時に効果的に利用することで、要配慮者に対する援護が適切に行われるように努める。

(8) 支援協力体制の整備

町は、佐久保健福祉事務所、社会福祉施設、医療機関、社会福祉協議会、民生児童委員協議会、地域住民、NPO・ボランティア等との連携のもとに、災害時の安否確認、避難誘導、情報提供、救護・救済対策、緊急受入れ等地域ぐるみの支援協力体制の確立に努める。

3 要配慮者利用施設対策

(1) 非常災害時の整備

社会福祉施設等に対し、介護保険法関係法令等に基づき、自然災害からの避難を含む非常災害に関する具体的な計画の作成について指導する。

(2) 防災設備等の整備

要配慮者利用施設等の管理者に対し、施設そのものの災害に対する安全性を高めるため、施設の堅牢化、防災設備の整備等に努めるとともに、災害に備え、施設利用者の最低限度の生活維持に必要な食料、飲料水、医薬品その他の生活必需品の備蓄(最低でも3日分、可能な限り1週間分程度)を行うよう指導する。

(3) 組織体制の整備

要配慮者利用施設等の管理者に対し、災害予防対策や災害時において迅速かつ的確な対応を行うため、あらかじめ自主防災組織を整備し、緊急連絡体制、非常招集体制等の確立に努めるとともに、地域住民やボランティア団体、近隣施設等との連携を図りながら、施設利用者の態様に応じた支援協力体制の確立に努める。

(4) 防災教育・防災訓練の実施

要配慮者利用施設等の管理者に対し、職員や施設利用者の災害に関する基礎的な知識や災害時にとるべき行動等について理解と関心を深めるとともに、施設利用者が自らの対応能力を高めるため、防災教育や防災訓練の充実強化を図るよう指導する。

(5) 応援体制及び受援体制の整備

ア 要配慮者利用施設等の管理者に対し、他の要配慮者利用施設等において災害が発生し、応援要請がある場合に備え、派遣可能な職員(介護職員、生活指導員等)、車両(移動入浴車、小型リフト付車両等)、資機材(車椅子、ストレッチャー等)等、速やかに応援出動等の対応ができる体制を整備するとともに、必要な物資、資機材等の確保に努めるよう指導する。

イ 災害発生時に応援要請を行う場合に備え、あらかじめ連絡調整責任者を定め、円滑かつ効果的に応援を受けられる体制の整備に努めるとともに、自治会等の自治組織との間で避難支援計画等に関する協定及び県内市町村における同種の施設若しくはホテル等の民間施設等と施設利用者の受入れに関する協定を締結するよう働きかける。

(6) 要配慮者利用施設の避難確保に関する計画や避難訓練の実施状況等について、定期的に確認するよう努める。

(7) ホテル・旅館等の確保

町は、要配慮者の避難先として、ホテル・旅館等の民間施設を速やかに活用できるよう協定の締結等に努める。

4 観光客、外国籍住民、外国人旅行者対策

(1) 観光客の安全対策の推進

ア 町は、関係団体、関係機関と相互に連絡協調して、緊急時における連絡体制を確立するとともに、観光客の安全対策を推進する。

イ 町は、観光関連事業者(旅館・ホテル等)と連携して、外国人旅行者にも対応した「災害時における対応(心得)」を作成するよう努める。

(2) 外国籍住民の状況把握及び支援体制の整備

町内における外国籍住民の居住状況等の把握に努めるとともに、地域全体による情報収集・連絡体制や避難誘導体制等外国籍住民に対する支援体制の整備を図る。

(3) 指定緊急避難場所、指定避難所及び避難経路の周知

町は、観光客や町内に居住する外国籍住民に対する指定緊急避難場所、指定避難所や避難経路の周知を図るため、標識等を簡明かつ効果的なものとするとともに、多言語化を推進する。

(4) 外国籍住民、外国人旅行者の被災者への情報提供体制の整備

町は、関係機関、関係団体と連携し、外国語によるインフォメーションなど外国籍住民、外国人旅行者に配慮した情報提供体制や緊急時における連絡体制の整備を図る。

(5) 防災教育・防災訓練の実施

町は、外国語版の啓発資料の作成の推進、配布、防災教育、防災訓練等への観光客及び外国籍住民の参加推進などを通じて、外国籍住民に対する防災知識の普及を図るとともに、観光客の被災拡大を防ぐよう努める。

(6) 応援体制及び受援体制の整備

他の地方公共団体において災害が発生し、応援要請がある場合に備え、速やかに応援出動等の対応ができる体制を整備する。

また、災害発生時に応援要請を行う場合に備え、あらかじめ連絡調整責任者を定め、円滑かつ効果的に応援を受けられる体制の整備に努める。

5 土砂災害警戒区域内及び浸水想定区域内の要配慮者利用施設対策

(1) 町は、土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設に対して、避難確保に関する計画の作成や避難訓練の実施など防災体制の整備について連携して支援する。

(2) 町は、警戒区域ごとに警戒体制に関する事項及び情報の伝達方法を定めるとともに、要配慮者利用施設、自主防災組織等と連携をとって、災害の発生を想定した連絡・通報、避難誘導等に係る訓練を実施する。

また、町は、要配慮者利用施設の管理者に対して、避難確保に関する計画作成の支援、同計画の確認を行う。

(3) 浸水想定区域ごとに、洪水予報等の伝達方法、指定緊急避難場所その他洪水時の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な事項について指定する。