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立科町の民話 |
赤沼池の河太郎 蓼科山の西北のふもと、芦田から諏訪地方へぬける道のかたわらに、赤沼の池がありました。いまは女神湖になっている池です。 池と道との間に、大きな石があります。 むかし、この石の上に、ひとりの子どもが腰かけていて、通る人に「かぎ引きしない?」といって、指をかぎにして出すのでした。 かわいい顔をした子どもなので、旅人のたいがいは、指をからませて、石の上の子どもとかぎ引きを始めました。 ところが、この子どもの強いこと。強いばかりか、からんだ手をはなさないで、そのまま、赤沼の池へ引きこんでしまうのです。 こうして、子どもに、池へ引きこまれた者が、なんにんいたでしょう。 そのうち 「あの、子どもと見えるのは、実は赤沼の池の主、河太郎というカッパだ。」 といううわさが、ひろがりました。 このことを聞いた、諏訪に住む諏訪頼遠(すわよりとう)という力持ちのさむらいが、 「よし、おれが退治してやろう。」 と馬にまたがって、とうげをのぼりました。 すると、話に聞いたように、石の上には、かわいい子どもがいて、 「かぎ引きしない?」 といって、手を出しました。 頼遠は、(ははあ、話に聞いたとおりに出たわいな)と思い、 「いざ参ろう。」 といって、馬の上から手をのばし、河太郎の中指にかけて、ギューっとにぎりしめました。河太郎は(これは、いつもとちがうぞ)と思い、あまりの力に顔をしかめました。 そのとき、頼遠が、馬に一むちあてたので馬は「ヒヒーン」といななき、かけ出したからたまりません。河太郎は、頼遠にキューと指をにぎられたまま、石の多いとうげ道を引きずられていきました。 あまりのいたさに、もとのカッパのすがたにもどった河太郎は、引きずられながら、悲しい声で、 「もうし、命だけはおたすけください。」 と、馬上の頼遠にたのみました。 そこで、頼遠は、馬をとめていいました。 「お前は、ずい分いたずらをはたらき、人を殺したそうだが、もうけっして悪いことはしないと約束できるか。」 「はい。悪いことはけっしてしません。どうか命だけはたすけてください。」 河太郎は、ひざまずき、頭を深くさげてあやまりました。そして、 「命をたすけてくださるのなら、今夜のうちにここをたち去りましょう。」 とたのんだので、頼遠はゆるしてやることにしました。河太郎は、びっこを引きながらトボトボ池のほうへもどっていきました。 翌日頼遠が赤沼池へいって見て驚きました。 池の水が一滴もなく、かれていたのです。(どこへ行ったのだろうと)、不思議に思っていたところ、その夜のうちに和田の宿の裏の山沢に大きな池ができて、水が満々とたたえられていたということです。 一夜のうちにできた池なので、村びとたちは「夜の間の池」とよぶようになりました。 もちろん、河太郎がつくった池なのです。この池にすむようになってからは、子どもと遊ぶことはあっても、けっして人を害するようなことはなかったということです。 教育委員会 社会教育係 |